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2010年06月09日

沖縄の起業家インタビュー~「ライツ学習塾」~第二章

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沖縄の起業家インタビュー~「ライツ学習塾」~第二章


知念先生の熱い教育への思い ~第二章~


-知念先生の指導法は、どんなものでしょうか。

最初の頃はまさに「体育会系」って感じでガンガンやってきました。うちの塾にシャツをはだけて来たり、ダブダブのズボン(ボンタン?)を着けてきたりした子なんかは徹底的に“指導”しましたね(笑)!

そしたらその子たちは、学校から塾に来る前に家に帰って、きちんと着替えてくるようになったんですよ。当時は(ライツに関係ない)地元のヤンキーの子たちも私の車を見たら逃げていくくらい恐れられていたようです(笑)。
でも本当に毎日が真剣勝負でした。
それが教育だと思っていたんです。

今は…少し諭しながら、教育指導ができるようになっています。若い(塾の)先生方を逆に止めたりしていますよ。「おいおい、もうそれくらいにしとけ!」って(笑)。


-すごい熱血だったんですね。でもその中で「ライツ」らしさも磨かれていったんですね。
ライツでは、私が毎月1回反省文を書くんです。
1ヶ月間の塾の流れなどを振り返っての反省文ですね。それを生徒全員に読ませて、そこから何を感じたか、何を学んだかということを原稿用紙1枚に(作文に)書いてもらい、提出させます。

これは1990年9月に独立した時に、月謝袋に挨拶文を添えて親御さんに届けたのが始まりです。
「今月から独立させて頂きました。ありがとうございます。」という感じの感謝の気持ちを届けるちょっとしたものでしたが、それが先ほどの毎月の「反省文」になり、今に至るまで続いています。

今の中学生はしゃべるのは上手だけど、表現してまとめる力が弱いなあと思っているので、この(反省文の)課題はいいトレーニングになっています。
あと、毎月1回やるのが「人間学講座」ですね。そこでは「なぜ学ぶのか」「どんなリーダーであるべきなのか」といったものから、「自分の命とは…?」といった深いテーマまで扱います。
そしてその後にも「作文」を書かせます。作文の前半部分には「この講座で何を知ったのか、気づいたのか、学んだのか」ということ、後半部分には「それを今後の生活にどう活かすのか」という2段落構成の作文を中学1年生からずっと書かせています。

そうすると、中学3年生の時点ではかなり上達していて、受験での作文なんて簡単に書けますよ。この講座での蓄積は、高校での小論文の力にも通じるだけでなく、社会に出た時にも大いに役立つんです。

最近、(ライツ卒業の高校生対象の)「検定クラブ」というのを創って、高校3年生までに英検・漢検・数検の2級を取るという目標の下、頑張ろうということを始めました。
でもこの検定クラブは、ただの検定試験対策ではなく、「人間力を高める検定クラブ」という冠をつけています。

いい講演会があればそれに参加させたり、ボランティア活動に参加させたり、(毎年実施していますが)アラハビーチのビーチクリーンアップ作戦というのも企画して参加させています。ちなみにこれはライツのアルバイトの子たちが企画しているんです。そうやって人間力を高め、人間としての器を大きくして、社会に出て行って欲しい、という思いでやっています。私は独立当初から「勉強二番、人間力一番」って言い続けてきましたからね…(笑)。


-ただ、受験勉強するためだけの塾じゃないということなんですね。

私は日頃から「“勉強”というものは、“強いて勉める”と書きますよね。そんなのは小学生までですよ、中学生からは自分の頭で考えて、“問うて学べ”、それが“学問”というものだよ。そして学んだものを実践せよ!」と子ども達に言い続けています。

(新中学生たちの)4月の人間学講座では、まず「なぜ、学ぶのか?」と問いかけます。
そうすると、大抵「頭が良くなりたい」「いい高校に行きたい」「いい大学・いい会社に入れる」といった答えが返ってきます。もちろん、それも正解です。でも「本当にそれだけか?それが目的なのか?お父さんやお母さんにも聞いてごらん。」と突き詰めさせます。これはご両親の皆さんにもすごい刺激になっているようです。「親子の会話」も増えますし…。

さきほどの(生徒指導を受けた)子たちも、「学ぶ」ということを体で覚えていって、高校では「5」をもらう子も出てきました。
そうなると、その親御さんたちも信頼してくれて弟や妹や親戚の子たちが入塾してくるようになったんです。最近では親御さんたち自身が「人間学講座」を受けたいという問い合わせまでくるようになりました。もちろん「どうぞ」と参加してもらっています。

今は「人間学講座」が親御さん方にも大変好評ですが…、
昔は昔のやり方で、さっきも言ったように体当たりでやっていて、それでも(生徒が)ついてきてくれました。でも時代が変わり、そういうやり方は必ずしも通用しなくなってきました。
先生方にも「感情で怒っちゃいかん。生き方で叱れ!」と指導しているんですよ。
この子のために本当にプラスになるような「叱りかた」でね。
ただ、それでも(生徒が)生き方として逸脱していると思った場合には、手を出しても構わないぞ、と付け加えています。
だから先生方にも自分自身の基準を持ちなさい、自分の子どもや弟妹と同じように接しなさいと…。「塾の生徒だからと遠慮するなら、それは間違った愛情だと思うんです。」

そういうふうに(先生方に)指導している手前、私自身もブレないよう、努力を怠らないようにしています。
日本創造教育研究所の研修に参加したり、いろんな本を読んだり、講演会を聞きに行ったり…。
また日創研さん(本土)の研修にはライツの先生方も派遣しています。
こういう仕事(先生・講師)は世界が狭いので、県内は勿論、本土や異業種の方々との積極的な交流をとても大切にしています。


-他の「学習塾」と比べて、かなり独自路線の感じがしますね。

ライツは「塾の概念を越える塾」を目指していて、学習塾とはいえ「教育機関」であると考えています。
だから、教科書の枠に囚われない教育を追求しています。

例えば、中体連前の「人間学講座」では「中体連で勝つ方法」と銘打って、「王道の勝ち方・負けない勝ち方」の講座をするんです。
つまり、常にベスト4以上を期待されるチームと、1回戦・2回戦チームとでは「勝ち方」が違う。自分(チーム)の戦力をしっかり分析をして、自分たちに合った勝ち方というものを見つけることが大事だよ、といった内容の話とかです。

また、ミーティングの仕方でも「失敗を指摘しあう」のではなく、「成功を指摘し合あう」ことにポイントをおく「成功の反省」をすると強くなる、といった感じですね。

これは、あるビジネスモデルの応用なんですが、とても子ども達の受けがいいんです。実際、これを実践した子ども達が、中体連で地区予選を勝ち上がって県大会に進出した、という事例も数多くあるんですよ。そういったこともあって、彼らも「人間学講座」を毎回楽しみにしてくれています。
  
話は戻りますが、「人間学講座」における「なぜ学ぶのか」という問いに対するライツの答えは、「幸せになるため」です。

みんな最初の4月~6月の間に、これを心に刻みつけていきます。プリント等をやらせようとする時、まぁ反抗期の年頃ですから、文句の一つや二つは出る事もあるんです。
でも「幸せになるためだろう?幸せになりたいんだろう」って言うと、案外素直になるんですよね。私の経験では、反抗期ではあるが「まっとうな反抗期」になっているような気がしますね。

実は「幸せになるため」というのは初級編の答えで、「なぜ学ぶのか」という上級編の答えは、「世のため人のため尽くせる人間になって、みんなで幸せになる」ということになります。
まず自分の幸せを考える、そして卒業する頃には「世のため人のため」ということの意味をわかって欲しい、という思いですね。


-「人間学講座」聞きたくなりますね。

では…、一つだけちょっとお話をしましょう。
ライツには「三日坊主のススメ」という教えもあります。
「三日坊主」という言葉は、普通ならあまりいい意味では使われませんよね。
でも私はこれを敢えて、「3日間続けて、4日目で休んでもいいんだよ、また次の日やればいいんだから」というふうに教えています。
そして「3日しかできなかった」という自分に目を向けるのではなく、「また、やろうと思う自分をつくって下さい」とね。
そう考えると心の負担が軽くなるでしょう。
三日坊主の最たるものが日記ですが、「続ける」ことを意識づけるためにも「ライツ流の日記の付け方」というものを指導しています。
ここ(左半分)には事実(その日あった事)を書く。こっち側(右半分)には、そのときの自分の感情を書く。
例えば事実(左半分)を押さえて隠しても、その時の感情(右半分)を思い出す事が出来るかどうか。これは右脳・左脳の訓練にもなります。この日記法だと日記が書き易くなるのがよく分かると思います。

普通、日記というのは事実とその人の主観(感情)がごちゃまぜになっていて、書きながら頭の整理がつきにくくなり、(日記が)続かない、ということになりがちなんです。
それを解消するために編み出したのが「ライツ流の日記の付け方」で、私はそれが継続する一つの方法だと考えています。

またルールを決めるときもあります。それはその日記の“感情”の部分の書き終わりに「~~。だから今日は素晴らしい一日だった!」これにつなげて下さい!というルールです。

当然、生徒たちは「親が亡くなるとか、そんな悲しい事があっても…?」などと反論してきます。私は、それでも「今まで自分を育ててくれてありがとう、お父さんやお母さんの分も精一杯生きていこうと決意しました、といった言葉でしめくくればいいじゃないか?」と答えています。やろうと思えば、どんな感情もそれにつなげられるんです。そうすると、自然にプラス思考が身につきます。


-子ども達の成長が、肌で感じられるのはいいですね。

そうですね。そんな子ども達への総決算として、受験生(中三生)には、受験まで100日を迎えた時点で、「百日特訓」というものを実施します。
それこそ土日もなく朝から晩まで、文字通りの“特訓”です。子ども達は本当によくがんばってくれますよ。

ただ年末年始の四日間だけは、休みをあげます。しかも大きな宿題付きで…。
「幕末の志士達の誰でもいいから、彼らの本を一冊読んで、それを基に『将来、私はどんな人物になりたいか』という原稿用紙五枚の作文を書いてくる。」という宿題です。
しかもこれを提出しなければ、“(塾を)クビ!”だと言い渡します。昔、本当に “クビ”だと言い渡した子がいるんですよ。目を真っ赤にして泣かせてしまいました(その後ちゃんと宿題を出させました)。

まぁ昔は、本を探すために子ども達が駆け回り、親御さんや地域の本屋さんがちょっとしたパニックになったりしましたが、今では各教場長が事前に本の準備(注文)などをしてあげたりするので、そんなに慌てる事なく取り組むことができてますね。
なぜ「幕末の志士達」なのかというのは、自分の命をかけて国を変え、異国から祖国を救おうとした若い志士達の生き様に触れて欲しいからなんです。
そして、今から自分たちが臨もうとしている受験なんて本当はちっぽけなものなんだと言う事に気づいて欲しいからです。
そのように受験というのはただの“通過点”だと分かると、1月からの子ども達の伸び率が格段に違ってくるんです。
それに加えて、先ほどの「ライツ流の日記」を付けていた子ども達の伸びが本当にすごいんです。
合格ラインすれすれにあるような子が“大逆転”してくれたこともありました。(幕末志士達の作文や日記の書き方など)教えたのは私ですが、子ども達は私の予想以上にそれを活かしてくるんです。

“私が育てられている!”。だから、この仕事が本当に楽しくて仕方がないんでしょうね。


第二章終わり


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